FIMの応用

運動FIM短縮版

研究の背景

FIM(機能的自立度評価法)は障害者の日常生活動作における介助量を計量するための評価法です。いわゆる回復期病床を始めとしたリハビリテーション病院では広く用いられていますが、その採点には専門的知識と経験が必要で評価に時間を要することから、病院でのリハビリテーションを終えた在宅療養場面の利用は必ずしも容易なことではありませんでした。そこで私たちは、地域において簡便にFIMを利用できるようにするために、運動FIM短縮版を作成しました。

運動FIM短縮版の開発

FIMは 13 項目の運動機能(認知機能は5項目)をそれぞれ 1 (全介助)~7点(完全自立)で評価しますが、在宅要介護者 398 名のデータに項目応答理論という統計手法をあてはめ、各項目の難易度の分布を元に介助の全体像を効率よく評価できる組み合わせを抽出しました( 図1 )。
こうして選択された運動7項目の得点を回帰式という方程式に代入することで得られる運動13項目合計点の期待値は、実際の得点と比べて高い一致率( R 2 = 0.980 )を示すことが確認されています( 図2 )。

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運動FIM短縮版の応用

私たちは短縮版FIMの利用法の一つとして、本来はリハビリテーションによって能力回復の余地があるにもかかわらず現状に合せた介護サービスを利用している「仮の要介護状態」にある患者をスクリーニングする方法を考案しました。
また、短縮版の他にもFIMの採点を支援するツールとして、ネット環境で動作するコンピュータプログラムである「iFIM」を開発しています。

今後の展望

FIMを共通言語として、日常生活動作を一貫した基準を用いて評価することにより、急性期からのリハビリテーションの流れを包括的にマネジメントすることが可能になることを期待しています。

参考文献

  1. 千野直一(編)、里宇明元、園田 茂、道免和久(著) : 脳卒中患者の機能評価 ?SIAS と FIM の実際 ?, シュプリンガー・フェアラーク東京 , 1997, p49.
  2. Yamada S, Liu M, Hase K, Tanaka N, Fujiwara T, Tsuji T, Ushiba J: Development of a short version of the motor FIM TM for use in long-term care settings. J Rehabil Med 2006; 38:50-6.
  3. 山田 深、大田哲生、里宇明元、木村彰男、長谷公隆、田中尚文、藤原俊之 : FIM TM 採点支援コンピュータプログラム「 iFIM 」の開発 . 総合リハ 2006; 34: 69-76.
  4. 山田深 : 「仮の要介護状態」とその対応 . 総合リハ 2008; 16: 749-754.
  5. Yamada S, Liu M, Fujimoto M, Hase K, Tsuji T, Fujiwara T, Okajima Y. Development of a screening tool to identify quasi-in-need-of-care state (QUINOCS) in the community based on the short version of the Functional Independence Measure (FIM) TR . Disability ( accepted for publication)