患者の皆様へ

リハビリテーションに関するわかりやすい説明や、当科での頻度の高い診療内容については、慶應義塾大学病院・医療健康情報サイト(KOMPAS)にて解説しています。

急性期病院ご入院中の方

入院加療が必要な疾患の治療や手術のためにご入院されている方は、各科主治医より必要に応じてリハビリ科に「リハビリをお願いします」という依頼が参ります。その上でリハビリ科医がみなさんを診察しますが、まず我々はリハビリをベッドサイドで行うか、リハビリのセンター(器具のそろった体育室だとご想像下さい。)で行うか、不要かを決めます。ベッドサイドで行う方は、定型手術後などを除いて基本的にはリハビリ科医が往診し、お部屋でみなさんの状態を評価します。センターで行う方は、診察室にいらして頂いて状態を評価します。というのも、お部屋からリハセンターの隣にある診察室まで、車椅子でも徒歩でも移動してきて頂くこと自体が重要な行動の評価かつリハビリになるからです。

そこでみなさんを診察・評価した後、どういったリハビリが必要かを考え、ご説明し、リハビリ処方箋を通じて療法士に依頼します。リハビリには、理学療法士(PTと略します)、 作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といった国家資格を持つ専門職種が゙おります。 医師の処方したレシピに則り、みなさんにそれぞ゙れの専門性を活かしたリハビリを行います。

初めての方はやってみないことには想像がつきにくいと思いますが、リハビリといってもいきなり走ったり、ダンベルをあげたりする訳ではありません。療法士と一緒にストレッチ、座り立ち、歩行、飲み込みの練習など、どこまでできるかを確認しつつ、状態に合わせて少しずつレベルを変化させていきます。リハビリの時間は1回あたり20分程度ですが、何回になるかは適用される病名や病院の療法士の数、処方内容などで変動します。また、土日祝日はリハビリができない施設も多いですので、予定など分からないことがありましたら診察の時やリハビリの時間にスタッフにお聞きください。

リハビリの特徴は薬や手術ではなく「患者さん自身が頑張ることで良くなる」というところです。リハビリの時間はコーチである療法士と一緒に無理のない範囲で頑張ってみて下さい。またリハビリ中に自主トレとして教わったことも、できる限りお部屋、退院後はご自宅で続けられて下さい。

回復期リハビリテーション病院ご入院中の方

回復期リハビリテーション病院では、自宅・社会復帰に向けて、リハビリ自体が入院の主な目的になります。急性期病院と異なり、主治医はリハビリ科医となります。そのリハビリ科医が入院時にゴール設定をし、その目標に沿って毎月・毎週・毎日のリハビリ内容を決めていきます。入院期間は1ヶ月以上にわたることが多いため、機能の回復具合によっても目標や内容が修正されていきます。

また急性期病院では直接的なお話しがなされないこともしばしばあるのですが、脳卒中や脊髄損傷などの脳神経系の疾患やケガでは、後遺症が残ってしまう場合が少なくありません。リハビリでは、失われた身体機能の最大限の回復、あるいは道具や環境整備による代償を目指しますが、同時にどうしても回復しきれない後遺障害を徐々に受け入れていって頂くことも大きなテーマです。

また、特に回復期ではリハビリはスポーツと同様の側面が強くなります。例えば脳卒中後片麻痺の方であれば、自宅復帰のためには自分の言うことをなかなか聞かない(竹馬に乗っているようだと評される方もいらっしゃいます)麻痺の足で、しかも補装具をつけた状態での歩行を覚えなければならないこともよくあります。まさに新しいスポーツを短期間で熟達しようとしているのです。未経験のスポーツをすぐに上手くなろうと思ったら、やはりコーチにつくのが早いですよね。回復期リハビリテーション病院の入院は、1日2時間程度、コーチと練習するリハビリの時間が用意されている強化合宿です。入院当初はコーチである療法士にみっちりと手取り足取り教えてもらいながら進めていきます。しかし、スポーツはコーチについているだけでなく、何よりも自分で練習量を稼ぐことで上達が早くなります。つまり、リハビリの時間以外、病棟で過ごす時間も立派なリハビリタイムです。病棟では自主トレに加え、実際の生活場面(食事動作や夜間のトイレなど)での動作の習熟、回復期病棟という他の患者さんも交えた「社会」の中での過ごし方も自宅・社会復帰に向けた大事な評価項目となります。回復期病棟では、リハビリの知識が豊富な看護師(リハナース)が練習を手助けしてくれたり、様々なコツや実践的な方法を教えてくれるかもしれません。 またどうしても残ってしまう後遺症に対しては、リハビリ科医や療法士、義肢装具士が協力して、機能を補うための装具が作製されることも多いです。

そして、現在の日本のシステムでは回復期退院後は入院中ほど手厚くリハビリは受けられません。入院の後半には、それまでの受容するだけのリハビリから、自分で考え、能動的に行うリハビリへと徐々に行動を変えていく必要があります。リハビリ科医を筆頭としたリハビリチームは、この行動変容をもお手伝いいたします。

外来に通院されている方・往診を受けている方

健康保険での外来リハビリテーションは介護保険の適応にならない若い方などで例外的に病院で行うこともありますが、対応できない施設も多く、基本的には介護保険での通所・訪問リハビリテーション・デイケアなどで機能の維持・向上を図るのがいわゆる「慢性期」のリハビリの手段となります。

しかし、退院後のリハビリを受けている方も受けていない方も、現在の環境で生活されているうちに、手足のつっぱりが強くなってきた、最近転ぶ回数が増えてきた、食事の時にむせることが出てきた、というように、みなさまの行動に関してよろしくない変化が出てくることがあります。こういった慢性期の場面でもリハビリ科医は介入していきます。主治医の先生にかかった時にそういった行動の変化があることを伝え、リハビリ科への依頼をお願いして下さい。必要に応じて再度行動を評価し、対策を一緒に考え、治療していきます。

また、当科では重い手の麻痺が残ってしまった慢性期の方に対する麻痺の治療を行なっております。麻痺の程度や歩行を含めた日常生活の様子などで適応が決まっており、対象となる方は限られますが、ご希望ある方は当ホームページのHANDS療法、BMI療法の項の記載をお読み頂いた上で、一度主治医の先生にご相談下さい。

みなさまにお願い

いずれの患者さんにもお願いですが、痛い、苦しいといった新しく出現した辛い症状を我慢してリハビリをされている方を時々お見受けします。転倒のリスクになるばかりか、ご入院されている原因の疾患や併存疾患を悪化させる可能性もありますので、初診時にリハビリ科医に相談していない症状、つまりいつもと違う症状が何か出てきた場合は、リハビリ中・前後に関わらず、すぐに病院スタッフにおっしゃって下さい。またご自身で訴えることが難しい方では、ご家族がご本人の様子で気になること(苦しそう、活気がなさそうなど、どんなことでも構いません)があればどうぞご遠慮なくスタッフにおっしゃって下さい。