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業績

本教室 桑原渉特任助教が執筆した、脳卒中後上肢運動麻痺に対する新規治療パイプラインと治療法提案アルゴリズムの実現可能性を検証した研究がAmerican Journal of Physical Medicine & Rehabilitationに掲載!

■掲載雑誌 / Journal
American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation

■論文タイトル / Title
Feasibility of a neurorehabilitation pipeline and an automated algorithm to select appropriate treatments for upper extremity motor paralysis in individuals with chronic stroke

■著者 / Authors
Kuwahara W, Kawakami M, Okawada M, Tanamachi K, Sasaki S, Kamimoto T, Yamada Y, Tsuji T, Kaneko F*(*責任著者)

■内容 / Contents
 本研究では、脳卒中後重度上肢運動麻痺者において、運動機能レベルに応じて段階的に適した治療を適用する治療戦略の効果を探索的に検討しました。さらに、運動機能スコアおよび表面筋電計を用いた検査(筋電検査)で取得した変数を独立変数とし、慢性期脳卒中後上肢運動麻痺に対する治療法を提案するアルゴリズムの実現可能性について検証しました。慢性期脳卒中者8名に対して、2~3段階の治療パッケージ(治療パイプライン)を適用し、治療後に運動機能スコアおよび痙縮のスコアが臨床的に意義のある最小変化量を超えた有意な改善を示しました。さらに、従属変数を脳卒中後参加者95名に対して経験豊富なリハビリテーション科専門医が決定した治療法、独立変数を運動機能スコアのみ、または運動機能スコアと表面筋電図検査で取得した変数の両方とした決定木分析を行い、運動機能スコアと筋電図変数を独立変数としたモデルで高い一致率を示しました。本研究の結果から、脳卒中後上肢運動麻痺に対する新規治療パイプラインと、治療法提案アルゴリズムの実現可能性が示されました。
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Title: Feasibility of a neurorehabilitation pipeline and an automated algorithm to select appropriate treatments for upper extremity motor paralysis in individuals with chronic stroke
Kuwahara W, Kawakami M, Okawada M, Tanamachi K, Sasaki S, Kamimoto T, Yamada Y, Tsuji T, Kaneko F*
American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation, 2024 Jul 3. Online ahead of print.

https://doi.org/10.1097/phm.0000000000002592

背景)脳卒中後の解剖学的な脳損傷の程度は運動機能と関連するため、臨床で取得可能な運動機能を評価し、レベルに応じた治療を適用することが重要です。本研究は、脳卒中後重度上肢運動麻痺者において、運動機能レベルに応じて段階的に適した治療を適用する治療戦略の効果を探索的に検討しました。さらに、運動機能スコアおよび表面筋電計を用いた検査(筋電検査)で取得した変数を独立変数とし、慢性期脳卒中後上肢運動麻痺に対する治療法を提案するアルゴリズムの実現可能性について検証しました。

方法)実験1では、慢性期脳卒中者8名に対して、2~3段階の治療パイプラインを適用し、運動機能、痙縮、日常生活における上肢の使用頻度を、治療前後で評価しました。実験2では、従属変数を脳卒中後参加者95名に対して経験豊富なリハビリテーション科専門医が決定した治療法、独立変数を運動機能スコアのみ、または運動機能スコアと表面筋電図検査で取得した変数の両方とした決定木分析を行いました。

結果)実験1では、治療後に運動機能スコアおよび痙縮のスコアが臨床的に意義のある最小変化量を超えて、有意に改善しました。実験2では、運動機能スコアのみを独立変数としたモデルの一致率は75.8%、運動機能スコアと筋電図変数を独立変数としたモデルの一致率は82.1%でした。

結論)本研究で使用した新しい治療パッケージ(治療パイプライン)は、重度の運動麻痺を有する脳卒中後遺症患者の運動機能改善において高い実現可能性を示しました。さらに、脳卒中後上肢運動麻痺に対する適切な治療法を選択するための自動化アルゴリズムを確立し、表面筋電図検査で取得した変数を含む重要な変数の標準値を特定しました。