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Japanese version of Edmonton Functional Assessment Tool 2 (EFAT2-J)

終末期のがん患者さんのリハビリテーションの目的は、患者とその家族が可能な限り最高のQOLを実現することであり、終末期のがん患者さんに対する運動療法を含むリハビリテーションの効果として、身体機能・倦怠感・QOLの改善が報告されています。終末期のがん患者さんに適切なリハビリテーションを実施すためには、患者さんの実際の身体機能の状態やセルフケア能力を評価する必要があります。しかし、既存の身体機能評価を用いた場合では、終末期のがん患者さんにおいて得点が下限に集まりやすいことや身体機能のわずかな変化を評価できず、がんのリハビリテーションの効果判定には不十分であるとされています。

Edmonton Functional Assessment Tool 2(EFAT-2)は、2001年にカナダで開発された終末期のがん患者さんに特化した身体機能の評価指標です。10項目の質問とパフォーマンスステータスで構成されており(表1)、各項目とも3点満点で評価します(表2)。信頼性と妥当性が検証されており、①日常生活における身体的、精神的、社会的機能を含む終末期のがん患者さん特有の機能障害を包括的に評価できること、②評価項目は患者さんに対して低負荷であるため終末期のがん患者さんでも実施可能であること、③終末期のがん患者さんでも得点が下限に集まりにくいことが特徴です。多職種で情報共有できるツールとして役立つ可能性、緩和治療やリハビリテーション内容の選択、退院先や方向性の決定に役立つことが期待されています。しかし、EFAT-2は日本語版が存在せず、本邦でEFAT-2を用いた報告もありません。

今回、我々はEFAT-2日本語版(EFAT2-J)を作成し、その尺度特性である信頼性と妥当性、解釈可能性について学術誌で報告しました。日本語版の作成は、International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research(ISPOR)タスクフォースによるガイドラインに準拠して行いました。また、原著者および編集者へ連絡し承諾を得た上で翻訳を行いました。尺度特性では、いずれも高い信頼性、妥当性、解釈可能性を得られ、終末期のがん患者さんのリハビリテーション診療や臨床研究に活用できることが示唆されました。

今回の学術誌報告にあたり、我々はここにEFAT2-Jを公開することと致しました。このEFAT2-Jは、特別な道具は必要とせず10分程度で評価が可能です。そのため、終末期のがん患者さんの身体機能評価として診療や研究の場面で、職種を問わず多くの方々に活用していただけることを願っております。

日本語版であるEFAT2-Jをご利用の場合は、以下の[1]の出典からの引用であることを明記してください。

表1 EFAT2-Jの評価項目

  1. コミュニケーション
  2. 精神状態
    記憶と見当識に関する6つの課題
    (名前、場所、日付、即時再生、近時記憶、遠隔記憶)
  3. 疼痛
  4. 呼吸困難
  5. バランス
    座位または立位
  1. 動作
    ベッド上動作と移乗
  2. 移動
    歩行または車いすの移動
  3. 疲労
  4. 意欲
  5. ADL
  6. パフォーマンスステータス
    病室/病棟

表2 EFAT2-Jの採点基準

0点:機能的

1点:最小の機能障害

2点:中等度の機能障害

3点:重度の機能障害

関連文献

[1] Zogo Y, Hoshino K, Serizawa K, Iwase A, Tsuji T. Psychometric Properties of the Japanese Version of the Edmonton Functional Assessment Tool 2. J Pain Symptom Manage. 2024 Feb;67(2):157-166.

[2] Kaasa T.et al.The Edmonton Functional Assessment Tool: further development and validation for use in palliative care. J Palliat Care.2001,Vol 17,no 1,P5-11.