患者さんへ

リハビリテーション科医とは

近年、医療技術の進歩に伴い、救命・治療可能な疾患が増加し、日本人の平均寿命も伸び、少子高齢化の流れの中で、現在の日本は超高齢社会へと突入しました。高齢者の増加に伴い、医療機関で治療を受けても完全に治癒できない患者さんが増加し、多くの慢性疾患と共存するケースが一般的となりました。また、病気そのものの症状や後遺症、加齢に伴う筋力低下などの影響で、日常生活が制限され介護が必要な患者さんも増えています。その中で、わが国でも「リハビリテーション」という言葉は医療や福祉の分野で広く使われ、その重要性は一般の人々にも広く浸透しています。

私たちリハビリテーション科医は、様々な疾病により患者さんの日常生活がどのように阻害されているかに注目し、障害の診断、残存機能の評価、機能回復の予測を行います。そして最新の知識と技術を統合し、患者の状態に合わせた適切なリハビリテーション・プログラムを提供し、ADL(日常生活機能)およびQOL(生活の質)改善を目指した治療を行っていきます。時にはリハビリテーションのみならず、補装具の作製、薬剤を用いた注射、電気刺激やロボットなどの先進治療機器、また社会制度の活用も私たちの治療手段の選択肢となります。私たちリハビリテーション科医が目指しているのは、患者の機能回復に留まらず、その人らしい生活を再建し、社会参加を果たせるよう、医学的側面からお手伝いしていくことです。

慶應義塾大学リハビリテーション医学教室では、既存のリハビリテーション医療だけでなく、がん・神経・再生医療を軸に、先端的リハビリテーション医療の研究開発や、地域医療や災害時の支援に関する地域リハビリテーション/災害リハビリテーションの基幹病院としての役割を果たすべく活動しています。また、国内外のリハビリテーション医療を指導的な立場で担える人材育成にも注力しています。次の時代も見据えたリハビリテーション医療を高いレベルで推進していくことが当教室の目標です。